あいつに見られた。
しかもそういった用途のホテルから出てくる現場を。
でも、これでよかったんだ。
ようやくふんぎりがついた。
バイト先のホテルの宴会サービスのマドンナと付き合いだしてから、2か月。
カテゴリー: 初心
相性はどうなんだろう。
カレシなら、そこまでこだわらない。
楽しけりゃ、それでいいし。
でも、結婚相手となると、そうはいかない。
慎重のうえにも慎重になりすぎることはない。
よくよく吟味せねば。
「友達としての相性なら、バツグンなんだけどね」TVにもたびたび出演しているというオバちゃん占い師さんは、そう告げた。
やっぱりね、と心で深く納得。
すると彼が言う「でも、僕はそろそろかなって思ってるんですよ」。
シングルマザーたって、いろんな種類がいる。
まず死に別れ。
これはまあ、きれいだわ。
あたしみたいな喧嘩別れ、しかも10代のヤンキー同志が「できちゃった婚」。
これはまあ、世間は同情してくれない。
ホテルの従業員駐輪場で、俺は彼女を待ち伏せした。
ずっとずっと好きだった。
バイト初日からすぐに好きになった。
気さくな笑顔。
美人なのに、誰からも好かれてるのに、誰にも等しく優しい。
おまけに、ダジャレが大好きときている。
とにかく、あいつらには負けられない。
僕はこぶしを固く握りしめた。
ラグビー部のあいつらは、彼女を坂の上で待ち伏せしている。
ネクラなクラスメートは、なんと廊下でじっと見つめているらしい。
だから、僕は校門の前にした。